靴擦れ
痛、
足元に違和感を感じた。
右足に、靴ズレが。
前を歩く彼を見るが、止まる気配はない。
こちらを気にしてすら、いなかった。
このままでは置いてけぼりにされてしまう。
靴ズレで、痛む足を動かした。
いつからだろう。
彼が私の前を歩くようになったのは。
昔は並んで、笑って、歩いていた。
そういえば、最近、彼の笑った顔見てない。
急に靴ズレの痛みが強くなった。
もう歩けない。
彼の背中に、待って、と視線を投げた。
彼の背中は、どんどん見えなくなる。
待ってよ。
声を出しても、もう届かない。
彼の背中が、どんどん小さくなってゆく。
悲しくなった。
痛い。
痛いのは足なのか。心なのか。
わからなくなってしまった。
(いつか、こっちを見てくれると思ってたのに)
靴擦れ