さかきさんの小説

さかきさんのセカンドブログ。小説というのは、おこがましいが、そういうことなのだ。

靴擦れ

 

 

痛、

 

足元に違和感を感じた。

 

右足に、靴ズレが。

 

前を歩く彼を見るが、止まる気配はない。

こちらを気にしてすら、いなかった。

 

このままでは置いてけぼりにされてしまう。

 

靴ズレで、痛む足を動かした。

 

 

 

いつからだろう。

 

彼が私の前を歩くようになったのは。

 

昔は並んで、笑って、歩いていた。

 

そういえば、最近、彼の笑った顔見てない。

 

 

 

急に靴ズレの痛みが強くなった。

 

もう歩けない。

 

彼の背中に、待って、と視線を投げた。

 

彼の背中は、どんどん見えなくなる。

 

待ってよ。

 

声を出しても、もう届かない。

 

彼の背中が、どんどん小さくなってゆく。

 

 

 

悲しくなった。

 

 

 

痛い。

 

 

痛いのは足なのか。心なのか。

 

わからなくなってしまった。

 

 

 

 

 

(いつか、こっちを見てくれると思ってたのに)

 

 

靴擦れ